安全なモザイクサイズの実験と検証

情報種別ごとの最小推奨サイズと失敗例

安全なモザイクサイズの実験と検証

一次情報・実測ベンチマーク | 更新日: 2025年9月15日

本記事では、顔・名刺・伝票・画面キャプチャなどの代表的な情報種別に対して、識別困難性を確保するための最小モザイクサイズを実験的に導出します。再現可能な手順・失敗例・推奨設定を提示し、実務で迷わない基準を提供します。

更新点(2025-09-15)

  • 検証テーブル(対象別の比較結果サンプル)を追加
  • 参考文献/出典(NIST/PPC/ISO)を追記

評価基準と実験設計

評価基準(概要)

  • 人間の視認での再識別不可(2m相当/一般的画面倍率)
  • OCRでの文字復元不可(主要OCRで誤読率80%以上)
  • 特徴量の識別困難(顔輪郭・ナンバー形状など)

デバイス/画像条件:解像度1,280×720, 1,920×1,080, 3,024×4,032など複数条件で検証。

推奨モザイクサイズ(要約)

対象参考設定注意点
顔(成人)18–25横顔/髪型の特徴が強い場合は+5
顔(児童)20–30より厳格に。SNS公開は上限側を推奨
氏名・署名15–25署名は癖が残りやすい。広めに処理
住所・電話番号12–20数字が判別不可になること
ナンバープレート15–25背景の車種特定にも注意
画面キャプチャのID12–18拡大表示を想定し余裕を持つ

検証データ(比較サンプル)

対象 画像条件 サイズ 人手再識別 OCR/特徴抽出 判定
文書の氏名欄 1080p 等倍 12 一部推測可 OCR 誤読多いが一部一致 不十分(拡大で読取)
文書の氏名欄 1080p 等倍 18 推測不可 OCR 失敗 十分
顔(成人正面) 720p 等倍 16 おおまかに特定可 特徴抽出で一致候補 不十分
顔(成人正面) 720p 等倍 24 再識別困難 特徴抽出失敗 十分

失敗例と再発防止

ありがちな失敗

  • サイズ不足:遠目では隠れていても拡大で読める
  • 処理漏れ:反射、影、モニタの小窓などの見落とし
  • 輪郭残り:顔やサインの特徴が残存

対策:最終確認は別端末/別ユーザーでダブルチェック。拡大確認とチェックリスト併用。

再現手順

  1. 代表画像セットを用意(顔/文書/画面キャプチャ/車両など)
  2. 各対象に対して複数のモザイクサイズで処理
  3. 人手評価+OCR評価の2軸で判定
  4. 最小サイズの安全域を+2〜3で運用値に設定

ポイント「最小サイズ」= 常に最適ではありません。公開媒体や拡大可能性を考慮し、余裕を持った設定が現実的です。

関連

公開直前の網羅的チェックは「公開前チェックリスト」、法令観点は「日本法×実務ガイド」、AIの再構成リスクと防御策は「AIによるモザイク除去の実態と対策」をご参照ください。

参考文献/出典